私しか、知らないで…

「付き合ったらさ
魔除けとかじゃなくて
手とか、繋ぐんだよ

…できる?」



北翔がそっと私の手を繋いだ



「うん…大丈夫…」



胸の奥がギューッてなった



「付き合ったらさ
キス、するよ

花澤できんの?オレと…

オレとキスするの想像できる?」



キス…



ドキン…



「オレは、想像できるよ

花澤とキスしたい
だから、友達じゃダメだった
だから、付き合いたいって思った」



「…」



なにも答えられなかった



「ごめん、ひいた?
キモいとか思った?」



「思ってないけど…」



「思ってないけど…
花澤が、今想像したの
オレじゃないでしょ」



え…



「想像したら
花澤の前にいるのは
誰だった?

オレじゃないよね?」



「…うん…」



きっと気持ちは

変わったようで変わってない



今日も私は

先生が好きだし



今日も北翔は

私を…



私に好きになって欲しいと思ってる



好きじゃないのに付き合いたいって言った私は

最低



北翔の手が

私の手から離れた



「昨日は、ごめん
もぉ一緒に帰れないとか言って

無理に付き合わなくていいよ
また一緒に帰ろう
まだ怖いんだろ?

オレ、最低だな
ホント、ごめん」



最低なのは

私なのに…



先生にフラれて

先生に北翔オススメされて

意地で北翔と付き合おうとしてた



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