許す事ができるの?

そんな律君が離婚した。

彼の落胆はひどく
何度も、何度も、退職願いを
社長に提出し、
社長から阻止されていた。

私は、そばで働きながら
律君に、なんどもアプローチをした。

だが······

いつも···律君は、
私の言葉を回避して逃げていた。

そんな日々の中
社長がお体を悪くして
入退院を繰り返すようになり······

今日は、社長の病院へと
律君と出掛けた。

その帰りに
律君が立ち止まり
「恵」と呼んだ。

それは、きっと·····あの女だ。

律君が、悲しげな、辛いような
でも、愛しそうな顔をしていたから·····

その女には、子供がいた。
律君と別れて
別の人と結婚したのだ。
なんという女なんだと思った。

だが、その女性は、
同じ女性から見ても綺麗な人で
律君に心が戻ってはいけないと思い、
その場を離れる為、声をかけると
あからさまに、律君は、嫌な顔をした。

その日は
終わるまで律君は言葉を発する
事もなく
夕方になり
「戸川さんは、
    もう、帰って下さい。」
と、言われた。
私は·····
「わかりました。お先に失礼します。」
と、言って専務室を出た。

帰宅途中······

どうして、私がこんな思いを
しないといけないのか·····と

悲しみより怒りだけが·····
わなわなと沸きあがり
顔中の毛穴が開く感覚が起こっていた。

怒りが、すごいとこう言う現象が
起こるのかと思う
      冷静な自分もいた。


そんな私は、ちょっと思いつき
知人へ連絡をした。
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