SP警護と強気な華【完】

そんな話をしながら歩き続け
無事にカトレアの家の門前に到着―――

「そうだ、お嬢さん。
 何かあったらすぐ駆け付けられるように連絡先を教えるよ」

「あ、はい…」

彼は黒いスマートフォンを取り出すと
淡々と携帯番号の交換し…

「何かあればすぐ連絡しろ。
 俺は何があってもアンタを命懸けで護る」

「柊…さん」

「俺だけを信じろ。
 俺もアンタだけを信じる」

ずっと冷たく突き放されていたのに
まっすぐ強い目力で見つめながら、優しい言葉を掛ける柊に
カトレアは不意をつかれてしまい
思わず顔を赤くし、ぎこちなく頷く。

「今日は無茶したんだ。
 体、しっかり休ませろな。
 おやすみ」

「お、おやすみなさい…」

また優しい柊の口調にドキッとしながらも
舞う雪の中を歩いていく彼の後ろ姿を
門の前から見送る。

(なんで急に優しくなるのよ…)

心臓の鼓動が早いのは、きっと外が寒いからだと…
自分に言い聞かせながら
カトレアは玄関へと入っていった。

…のだが。

「え…何、これ…」

ドサッと鞄を落とし
立ちすくんでしまったーーー




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