LOVE and DAYS…瞬きのように

もしかして、これを言うために何度も電話してくれたんだろうか。


そう思うと申し訳ないと同時に、

少し嬉しい、なんて思ってしまった。
 

シンさんや真由ちゃんにも心配してもらっておきながら

健吾の“気にするなよ”が一番効くなんて。


あたしってけっこう現金なやつ。



「ありがとう。
でも、もう大丈夫だよ」

「そうか?」

「うん」
 

明るく答えると、健吾は了解して電話を切った。
 


あたしは“通話時間:1分13秒”と画面に出た文字を、しばらく見つめていた。


ほんの短い時間だけど、健吾の1分13秒をひとり占めできたのだと思うと、胸の中が甘くなる。
 


いつか……これが30分とか一時間になる日は、来るのかな。


特別な用なんかなくても、ただ声を聞くためだけに電話できるような日が。



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