LOVE and DAYS…瞬きのように


……噂は、いつの間に広まっていたんだろう。



ミツルはたびたび恋の相談をあたしに持ちかけてきた。

あたしは板挟みに苦しみながらも、どうすることもできなかった。

ただ真由ちゃんの傷つく顔が見たくない一心で、その場しのぎを繰り返すだけで。
 

そうしていつしか、クラスの女子の間で広まっていた噂――



『莉子ちゃんとミツル君って、最近ふたりでよくコソコソ話してるよね』

『付き合ってるんじゃない?』

『でも莉子ちゃんって、月島先輩と仲いいんじゃなかったっけ』

『だよねぇ』
 


噂というのは、生まれた瞬間から尾ひれをつけるもの。
 
健吾に憧れている子は多いから、その分よけいに尾ひれがついてしまったのかもしれない。



『じゃあ莉子ちゃんって、ミツル君と付き合ってるくせに、先輩にも媚び売ってるってこと?』
 


せめてあたしが、もっと早くこの噂に気づいていれば、よかったのに。




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