LOVE and DAYS…瞬きのように
「ありがとうな」
当たり前のような仕草で、髪をクシャッとされる。
払いのけるのすら忘れるほど、ごく自然に。
……こんなことならグロスだけじゃなく、髪も巻いておけばよかった。
なんて考えが頭をよぎるあたしは絶対、おかしい。
「と、とにかく」
あわてて声を出すと、みごとに裏返っていた。
「あのときは月島…先輩に迷惑をかけてしまったから――」
「別に迷惑じゃねぇし。
あと、先輩って呼ぶな。健吾でいい」
周りで見ていた人たちから小さくどよめきが起こった。
真由ちゃんも興奮気味に何か言っているけど、ちゃんと聞き取れない。
健吾でいい、って……。
あたしは“後輩”なのに?
そんな戸惑いを見抜いたのか彼は
「今さらお前に後輩ぶられてもな」
と、笑った。