LOVE and DAYS…瞬きのように
健吾はその腕を懸命に振り
その足でしっかりと、地面を踏みつけて走る。
あたしの瞳から、大粒の涙がこぼれた。
……不思議だね、健吾。
こんな風に走るあなたを見るのは初めてなのに
何度も見てきた気がするの。
まっすぐに前を見据える、強いまなざしも。
全力で駆け抜ける、ひたむきさも。
あの頃のあなた
そのものだから――…。
2着でゴールした健吾は、少し悔しそうな顔で汗を拭く。
いつの間にかスタンドの一番下まで降りていたあたしは
その表情をはっきり見ることができた。
「健吾……好きだよ」
思わずつぶやいた声は、歓声でかき消されたはずなのに。
まるでテレパシーのように
健吾の顔がこっちを向いた。