クールな彼の甘苦い罠
予鈴が鳴ると 稜矢くんも席に戻り
周りは静かになる。
私たちの列は廊下側の端の席で
壁を背に 平石は横向きに座っている。
それに、稜矢くんが戻ってから
チラッと私を見て 何も言わず目を逸らす。
それが何度かあり、
私が落ち着かなくて…
「 なに?」
私は平石に聞くと
「 別に 、ちょっと見ただけ 」
って 私の目を真っ直ぐ見て言うから
「 … 見ないで 」
って 耐えきれず 目線を外してしまう。
その後も視線を感じて、チラッと見ると
「 髪の毛、おろしてる方がいい。」
ってボソッと呟く平石の言葉。
表情は全く変わらない
「 別にあんたに言われても… 」
本当は少し嬉しかったけど
私の精一杯はこれで、、