クールな彼の甘苦い罠
紫月side
紫月side
気がつけば梅雨の時期になり、
「 また雨かよ 」
「 せっかく 菜桜ちゃんとデートなのに。」
湿気でイライラすることが増えた。
今日は部活がオフ。
終礼が終わり、帰る支度をする俺の元へ
ガッカリしながら来るのは稜矢。
「 またか、早く告白しろよ 」
部活がオフの度に遊んでる割に、
いつまで経っても付き合う気配ゼロ。
「 紫月にだけは言われたくねーよ、
オフの日くらい誘えばいいのに 」
って 稜矢の言うことは正論なんだけど、
誘えるわけない。
「 お前、油断してたら まじやばいかもよ?
藤野に遥野ちゃん取られそうじゃん 」
稜矢は 前の席に腰掛けて
松木の方をぼーっと眺めながら言う。
俺もチラッと見ると、いつもの光景だ。
いつも楽しそうに話してる2人、
それに距離感だって… 前より近い
「 別に俺には関係ねーよ 」
なんて強がってみたけど 内心そんなこと思わない。
気がつくと松木を目で追ってるし、
昔から独占欲が強くて 嫉妬深いせいで
彼女でもない松木が男と喋ってるだけで妬ける。
付き合うと歯止めがきかなくなりそうで
こうやって遠くの存在が一番楽。