追放された聖女はもふもふとスローライフを楽しみたい！～私が真の聖女だったようですがもう知りません！～

「さあ、働かなきゃ」

貴族の娘なのに、どうして家事をしなければならないかというと、単にこの家で私が忌み嫌われているからだ。嫌がらせの一環として、家事を押しつけられている。

――呪われた魔族の目を持つ娘。

周りの人間は皆、私の容姿を気味悪がって遠巻きにしていた。生まれながらに、私の片眼が魔族のように赤いからだ。

どうしてそうなったのかはわからないけれど、成長しても瞳の色が変わることはなかった。

私が生まれた当時、我が子を見た母親は泣き叫び、父親も私を殺そうとしたらしい。

とはいえ、貴重な異世界人の血を引く娘を勝手に殺すわけにもいかず、とりあえず私は生かされている。

だが、両親に我が子として接してもらえず、物心ついたときから使用人のような扱いを受けていた。

同時に生まれた双子の妹は、蝶よ花よと大事にされているのに。

壊れかけの鏡に映る自分の赤い瞳を見ていると、何か大事なことを忘れている気がするのだけれど……どうしても思い出せない。