ささやきはピーカンにこだまして
「やっぱ、BL……」
 つぶやいたら、なんと実取(みどり) (じゅん)にまでにらまれてしまった。
 男子のアオハルモード、おそるべし。
「髪はホント時間かかってるから、もうやめてね。ぼくはスプレーして押さえてるけど、本当は姉貴みたいに爆発ワタアメなんだから」
 爆発ワタ……。
 なにそれ。ほかに言いようはないの?
 失礼ね。
「へー。ワタアメか。じゃ、イチローさんのは、さわってもふわふわなの?」
「…なっ」
 なんでそこでまた振り向く。
「ふわっふわだよ。脳みそと同じ」
「ぷっ…」「二紀(にき)っ!」
 もちろん吹いたのは実取 準で、拳を握ったのはわたし。
「さわらせて?」
 伸びてきた実取 準の腕からスウェイバック。
「ふざけないで!」
「えー。二紀ねらいじゃないって。証明してあげようと思ったのに」
「…………」
 BL呼ばわりの仕返しか!
 くすくす笑っちゃって。
 そんなところまで負けず嫌い?
 めんどくさい子だな。
 先輩をからかうのも、たいがいにしておきなさいよ、実取 準。

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