ずっと気づかなかっただけ。
「えっと、何が?」

顔?

どんな顔してた?

ムッとしてた顔?

怒るフリというかムッとする顔も太一たちといる時もしてるけど…んー?

「太一、暴走しないでよ!」

「まぁまぁ夏海ちゃん、まだ我慢してるから…」

反対側からなっちゃんとタケくんの声がして、

振り向きたいけど、

ほっぺを掴まれたままで何もできない。

「あ、あの?太一、くん?」

わざとらしく、君付けしてみるけど、

離してはもらえない。

「…俺にもその顔してよ。」

「えぇっと…?ムッとした顔?したことあるよ…ね?」

「…」

太一が私から視線を外さない。

な、何…

固まってると、

「時間切れ。ほら、太一、下、キレてる。」

タケくんが太一の手を下ろさせて、

下を指さす。
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