【完】傷だらけのプロポーズ

「初めはどーせ騙されてるんじゃねって思ったけど、あいつ一途そうだし…。
母親に紹介してもらえるなんてマジじゃん。
良かったな……美麻。」

「朝比奈にだけは言われたくない…。
朝比奈も可愛い彼女が出来て良かったね!」

いつから背中合わせで話さなくちゃ本音さえも言えなくなってしまったのだろう。
そして自分の口から飛び出す言葉の全てが本音でなかった事も。

分かっている、全部知っていた。
朝比奈がどれだけ嫌味や悪口を言ったって、私を本気で馬鹿にした日など一度たりともない。


何故なら、朝比奈と一緒に居るといつだって居心地が良かったからだ。 自分が自分らしく居られた。

でもこの関係ももう潮時だ。  私達は初めから、別々の道を歩むべき違う人間だったのだから。 それを寂しく思うなんて馬鹿げている。


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