【完】傷だらけのプロポーズ

大河さんが起きる前にこっそりと起きて、メイクがよれていないかチェックして上からコンシーラーやパウダーをはたく。

同棲なんてしてしまったら四六時中メイクを取る事が出来ない。肌にも悪そうだ。 何よりも心臓に悪い。

「俺は、美麻ちゃんとずっと一緒に居たいな。勿論これからも…」

熱っぽい視線を向けて、彼が口を開く。 愛想笑いをしたら口角がピクリと引きつる。 それでも彼は私の体を抱き寄せて、ぎゅっと胸の中に押し込めた。


’ずっと一緒に居たいな’
’勿論これからも…’

嬉しい言葉のはずなのに、彼との未来が見えないのは何故?

答えは簡単だ。 私は大河さんに自分の全てを曝け出せないから。付き合っていて安心して落ち着く時もあるけれど、その何倍も疲れてしまう日がある。

果たして彼は私の醜さまで愛してくれるのだろうか。
そんな事を朝比奈に相談したら、答えはきっと決まっている。

いつもの調子でおどけて、’バッカじゃねーの’って私の悩みなど笑い飛ばしてしまうに違いない。

どうして私は大河さんに自分の全てを見せられないのだろう。 彼が私の顔のあざを見て馬鹿にしたり笑ったりするような人じゃないって分かっているのに。

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