【完】傷だらけのプロポーズ

私の頬ではなく目を見て真っ直ぐにそう言った。 小生意気そうな顔。 それが朝比奈の第一印象。

さらりと人の顔をディスって、おかしそうに笑う笑顔は無邪気だった。

『それに鼻が外国人みたいにつけっぱなみたい』

今にして思えば、目が大きいのも鼻が高いのも大人になってから褒められる私のチャームポイントばかり。

わらわらと朝比奈の同小だった友達が彼を囲むように集まってきて、口々に「朝比奈ひどーい」と言い始めた。

入学早々頬のあざじゃない場所を弄り倒してくれたので、一番気にしていたあざに関しては余り注目されなくなった。

『俺、朝比奈夏樹 南小。よろしく』

『西小の小田切美麻…』

それから中学時代は毎日のように朝比奈にいびられ続ける羽目になった。 お前はブスだなあ、という容姿の批判。 スポーツが苦手だった私をからかって、成績ではいつも張り合っていた。

朝比奈が執拗に私ばかりを苛めるので、周りから同情をされて私を苛める人間は一人としていなくなった。

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