カフェのイケメン君が私のウソ彼です
私の言っていることが信じられない?って言おうとしてやめた。本当に信じることができていないのは私の方かもしれないから。


「私の好きな人は藤堂さんじゃない。それだけは誤解しないで。」


手元にあったカバンを持ち立ち上がる。


「浩くん、本当にいままでありがとう。」


ドアが閉まる時に浩くんが潤、と私の名前を呼んだ気がしたけれど振り返らなかった。


これで本当に浩くんとサヨナラだ。


あたり前のように流れる涙は止まることを知らない。
道を歩きながらもずっと流れ出る。
家まで我慢できればよかったけれど、浩くん家を出るまで我慢するのが精いっぱいだった。


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