カフェのイケメン君が私のウソ彼です

約束

グラスを持ち上げるとカランと音を立てて氷が動く音がする。


少しだけ口に含み、広がる苦さと少しの甘みを味わう。
カフェラテだけど、ブラックを好まない私にとっては十分な苦さだ。


あの日の悪魔からの電話の後、動揺を隠すように普通をよそおって店内に戻った。


店内に戻るとバースデーケーキが出てきた。
そして先輩が私の誕生日を祝ってくれた。
そのためにあの店を選んでくれたらしい。


先輩に対してちゃんと喜びを表現出来ていたと思うし、その後も会社ではなんの問題もなく過ごしていると思う。


それでも、あの電話が私に与えた影響は絶大だ。
暇があると私に残された1年のことばかり考えてしまう。


その場所はたいてい『Le jardin secret』


落ち着いてゆっくりと考え事ができる。


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