私の容姿と心とそしてあなた


私は美しい
この世界の誰よりも

私とすれ違った人は振り向く。
そしてうっとりとした目つきで私を見るのだ。
ある人は私を「妖艶」だと言い、またある人は私を「艶やか」だと言う
そんな言葉にはもうなれた。
生まれてこの方さんざん言われてきたし。
私に落とせない男はいない。
外に歩く時財布を持つことも無い。
欲しいものがあればそこら辺の男を捕まえてねだればいい。
みんな私に従ってくれる。
うっとりした目を向けながら。

そんな私の仕事はもちろんモデル
、女優だ。
私が出る映画やドラマは毎回大ヒットする。アカデミー賞ももう何度とったか分からない。
また、私が誰の夫を取ろうが誰も私を叩かない。
みんな口を揃えて言う「仕方ない」



これが私




中崎 愛香、この世界で最もモテる女



「はぁ。今日も疲れた…」

ドレッサーの前に立って私を着飾っていたものを全てはずす。
上質な布で作られたドレス。
重たいぐらいの金でできたピアス。
キラキラと怪しげに光るダイアのネックレス。
飾りを外したらメイクを落とす。
綺麗に引かれたアイライナー。
私の顔をてらすハイライト。
赤く塗られた唇。

全てを外した時、私は身軽になる。
私は私から開放されるのだ。

そのままゆっくりとお風呂に浸かる
今日、投稿したインスタを見返しながら。
そこには笑顔で立っている私の姿。

「私、こんな顔してたっけ?」

お風呂から上がるとスキンケアをして、髪を乾かして、そのまま布団で眠る。

深い深い眠りに落ちる。

私は私が嫌いだ。
この顔も、スタイルも髪の毛も、
全てが嫌い。


ピピピッピピピッ


今日も一日が始まる。
いつも通り歯を磨いて顔を洗って、仕事へ向かう。

コツコツ コツコツ

「痛っ!!」

歩いていると足首に激痛が走った。
どうやらヒールのかかとが折れてしまったようだ。

「はぁ…。新しいの買わないと」

「あの。大丈夫ですか?」

またか。私は路上で止まっているといつも話しかけられる。たぶんナンパだ。


「大丈夫ですので」
私は素っ気なく返す。
こんなところで時間を費やしてる時間をはない。

そう思い離れようとした。

「でも、足首晴れてますよ」

見ると足首はパンパンに腫れていた

どうやら折れているようだ。

そう言われてから痛みがどんどん増してくる。

「どうしよう…」

仕事に遅れる焦りでパニックになりかけていた時、私の体が宙に浮いた

綺麗な青空だった。
白くて美しい雲がたくさんある。










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