コイノヨカン

揺れる気持ち

私達は3週間ぶりに再会した。

「ごめんな」
少し頬のこけた渉さんに言われ、

「私こそ」
と答えるしかできなかった。

「会社をやめるんだな」
「ええ。父が反対しているから」
「そうか」

なんとなく会話が続かない。


「すまなかったな」

また謝られた。

「もうやめて。申し訳ないのは私の方。私は渉さんにふさわしい相手にはなれそうもない」

「うん」
渉さんは否定しない。

「俺は栞奈が好きだけど、幸せにしたかったけど・・・」
言葉に詰まった。

分かっている。
私達はもうおしまい。
お互いがふさわしくないと知ってしまった。
これ以上一緒にいれば傷つけるだけ。


「もう終わりにしましょう」
私から言った。

「すまない」

「大丈夫」
元々契約交際だったんだから。

この半年は本当に幸せだった。
今まで出会ったことのないような人と出会い、夢みたいな生活をさせてもらった。

「ありがとう」
右手を差し出され、

「どうかお幸せに」
笑顔で握手した。


家に戻り、自分のベットに潜り込んで、
ああこれで終わりなんだと思うと、気が抜けてしまった。
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