コイノヨカン
感謝のss  ハネムーン
「おはようございます」

「あら、栞奈さんおはよう」

離れを出て母屋に向かうと、いつものようにお母さまがキッチンに立っていた。

「いつも、すみません」

結婚して半年。居候をしていた時から思えば3年近くたつけれど、一度もお母さまより早く起きられたためしがない。
決して朝が苦手だとは思わないけれど、どれだけ早く起きてもお母さまにはかなわない。

「気にしなくていいのよ、私が好きでやっているんだから」
「はあ」

それでも嫁としては、申し訳ない思いしかない。

「そういえば、今日はお母様と出かけるんだったわよね?」
「はい」

楓さん、じゃなかったおばあさまと子供園に行ってボランティア活動をする予定になっている。

「お母様、お年のせいか最近では歩くときにふらつくことがあるようだから、気を付けてあげてね」
「はい」

どんなにお元気そうに見えてもお年だものね。
そう思えば、『ひ孫はまだかしら』と急かされるのも仕方がないことなのかもしれない。

「何してるの、食べちゃいなさい」

お母さまに声をかけられ、

「いただきます」

私はテーブルにつくと、用意された食事に手を付けた。
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