妖守の常木さん~妖守は彼女を独占したい~
そこは、広いし書架も私の背丈の倍ほどで、専門書が多く私が読むにはちょっと堅いものが多かった。
書架の間を抜けると開けた場所があり、二人がけのソファと机のセット。長テーブルが真ん中にある。
「ソファの方がいいですかね。ゆっくりできるでしょうし」
そう言って常木さんはゆるりと腰掛け、隣をぽんぽんと叩いた。
「いつまでそこで立ってるんですか。ほら……ここ」
その仕草がやたらと艶かしく妖艶であったため、しばし動揺する。
「……でも、ほんとに入ってよかったのかな」
私がもたもたしていると、常木さんはポケットから鍵を取り出して私に見せた。
「それは、鍵?」
「そう、ここの鍵です。
僕がここでひっそり勉強がしたいって申し出たら、教授から鍵を譲ってもらえたんです。ちなみにここの鍵はこれ一本です」
それから常木さんは入口を指さす。
「鍵も内側からかけましたし、ここに入って来れる人はいません」
「なんと、用意周到な」