妖守の常木さん~妖守は彼女を独占したい~
真也は「なんか怪しいな」と訝しげに言ったものの
「そういえば、腹は治ったのか?」
と私のお腹を指さす。
「ああ、うん。じっとしてたら治ったみたい」
なんだか真也を騙している気分で、というかお腹が痛いのは嘘だったので実際、騙していることになるんだけれど、
心配させてたことに誠に申し訳ない気分だ。
「ならいいけど」
「そういえば鈴木さんは?」
見渡した限り、鈴木さんの姿は見当たらない。
もしかして、真也、置いてきたんじゃないだろうな、とそういう目で見ていたのが当人にバレていた。
「別に置いてったりしてねえから。先に帰るって神社の前で別れたんだよ」
苦々しげに答え
「鈴木のこと気にかけんのも大概にしろよ。あんまり露骨だとお前が嫌な目に遭うかもしれないんだしさ」
「それ、どういう……」
「いや、だからさ」
「おーーい! 久美ちーん」
私の声に被さって、騒がしくこちらに駆け寄ってきたのは椎名と真衣だ。意識はすっかり2人に持っていかれた。
「寂しかったぞ〜」
と勢いよく抱きついてくる2人。
無茶苦茶に撫でられながら、いやいや私の方が格段に心細かったのだぞ、と心の中で答えた。