妖守の常木さん~妖守は彼女を独占したい~




陽が傾いて夕焼けで空気が赤く染まった頃、常木さんは大体この神社の賽銭箱付近にいつもいる。





大学は朝の間に終わることが多いらしく、案外暇なのだと言っていた。





私が学校でのことを思い出して鳥居の前でじっとしていると、境内から常木さんが出てきた。





「久美ちゃん。遅かったので、てっきり来ないのかと……。来てくれて凄く嬉しいです」






常木さんはごく自然に私の手を握って、境内の中を進み、



いつもの場所までくると、二人で腰を下ろした。





そして、何気ない会話を交わし、日が暮れるまでの短い時間を常木さんと過ごす。



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