男嫌いな侍女は女装獣人に溺愛されている

 個室へ案内されたあと、ピケに渡されたのは値段が書かれていないメニュー表だった。

「コーヒーとルッセカットを」

 焦るピケの前で、アドリアンは飄々(ひょうひょう)と注文を済ませる。
 メニュー表を開くことなく注文する彼は、ここの常連客に違いない。

(さすが、総司令官様。大人って感じだなぁ)

 手持ち無沙汰に様子を眺めてくるアドリアンに、ピケは冷や汗をかきながらメニュー表を見る。
 待たせるのは気が引けるが、値段がわからないせいか、どれもこれもお高そうに見えてならない。
 うんうんうなりながらメニュー表の端から端まで確認して、なんとかジャムと紅茶だけを頼んだ。

 安堵(あんど)の息を吐きながらメニュー表を閉じた時、ふと表紙のイラストが目に入った。
 ケーキにパイ、ビスケット。美味しそうなイラストに、つい目が釘付けになる。

(うぅ……食べてみたいけど、お値段が……!)
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