シャボン玉
それは、目の前で儚く(はかなく)『ぱちん』と弾けた(はじけた)


弾ける瞬間が見たくて、何回もそれを作った


作っては弾けて、作っては弾けて。


それは、一定の形を保たなかった。


風に漂って、ふわふわと飛んで、

何かにあたってぱちんと弾ける。


そのうち、辺りは夕暮れに染まった


そろそろ家に帰るよと言う声が飛び交っている


やだ。


しかし、心は晴れていた


それがどうやって弾けるか分かったからだ


それはまるで花が咲くように


弾けていた


だから、それが弾けるときの擬音は


『ぱちん』と弾けた


ではなく、


『ぱっ』と弾けた


がいいと思った


帰りもそれを作っていた


辺りはそれで溢れ、それは夕暮れに反射してものすごく美しく見えた


茜色に緋色に青磁色に青藤色に……


まるで夕暮れのすべてがそれにぎゅっと詰め込まれたみたいだ


ぐるっと首を回して見ると


世界が昨日より輝いて見えた


それに伴って私の心も昨日より輝いていた


私の心を輝かせたそれは


シャボン玉だった
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