今日からニセモノお姫様!





そう思っていると伊織が「乙女様はそんなふうに叫びません」と予想通り注意された。
めちゃくちゃ睨まれて。

ちくしょう!



「…安心してください。彼らは一度か二度ほどしか乙女様に会ったことはございません。上手くやればアナタのことはバレないでしょう。アナタは見た目だけは乙女様に瓜二つですから」

「…」



いや絶対バレるだろう。いくら見た目がそっくりだからって。
上手く立ち回れない自信しかない。

私はバカなりに考えた。
どうやってこの無理ゲーから降りるか。

もう契約書にサインしてしまっている以上、乙女様に私はなるしかない。 

だが伊織が言うにはバレた場合は報酬を返すのみ。その他のペナルティは何も言われていない。

報酬がいつから発生しているかわからないが、高額の報酬がもらえるとはいえ、たくさん報酬をもらう前に、バレてしまって少額のお金をさっさと返して晴れて契約解除というのはどうだろうか。


我ながらナイスアイディアでは?


よし、じゃあ悟られずにその方向で…。



「あぁ、おそらくよからぬことを考えている乙女様に親御様からお手紙です」

「え?」



何でバレてんの。と思いながらも伊織を見つめれば、無表情なまま伊織が執事服の懐から白い封筒を出す。

嫌な予感がまたする。











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