今日からニセモノお姫様!




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学校へは遅刻せず登校し、授業も程よく真面目に受け、休み時間は友だちと思い思いに過ごし、放課後がやってきた。

私、桜野 鈴音(サクラノ スズネ)はこの高校の1年生だ。
もう季節は冬だが特に部活動をしている訳でもなく、友人は部活でいない、もちろん彼氏なんている訳ない私は、学校に居ても暇なのでいつものようにさっさと家に帰ることにした。

冬の日は本当に短い。先程まで明るかったのが嘘かのようにもう空は薄暗くなり始めている。


…綺麗だなぁ。


空を見上げれば空いっぱいに昼と夜の色がぐちゃぐちゃに混ざった夕方の特別な色が目に入る。


「あの」


空の美しさに見惚れていると後ろから誰かに声をかけられた。


誰だろう。聞いたことない声だ。


「はい?」


聞き覚えのない声だがこの道にいるのは私ただ1人だけなので私に声をかけられたと判断し、後ろを振り返る。


するとそこにはものすごく綺麗なそれでいて上品な見目の大変麗しい執事服を着た男が立っていた。

艶やかで真っ直ぐな透明感のある銀色の髪。顔は恐ろしいほど整っており、人形のようだ。

声をかけた割には無表情で私を見つめるこの男は私とおそらく同年代ではないだろうか。


…彼は何故そんなスッとした顔で執事のコスプレを?大変よく似合っておりますが。









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