落し物シンデレラ
私の日常
カタカタと鳴り響くタイピング音や電話の鳴る音。それに加え、話し声もするお昼休憩後のオフィス内。

私、灰宮 夏愛(はいみや なつめ)もその音を鳴らしているひとりだ。

入社してまだ2年目の春。まだまだヒヨっ子OLだ。分からないこともまだあり未熟だけれどもそれなりに働けていると思う。

容姿から仕事の成績まで 全て平々凡々だと私自身は思っているけれど、回りの評価は違うみたい。

どこにでもいる20代のOLだと思うのだけれど……。

そう考えながら 書類とパソコン画面を行き来する。

「ねぇねぇ、なっちゃん。聞いた?」
となりのデスクから声をかけてきたのは同僚の元木 深夏(もとき みなつ)。おしゃべりや噂が好きで、休日はエステやウインドーショッピングするのが趣味で普段からとてもオシャレな人。ただ根拠のない噂を社内で広めているのは、この人。

「明日ね、明日ね、新しい人くるんだって!!!」
声をひそめるように耳打ちしてくるが、彼女の声は普段から大きいため全然声をひそめることができていない。
「それでね、ひとりだけじゃなくて7人くるんだってっ!!!ちなみにね、聞いた噂によると社のお偉いさんのご子息らしいの~」
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