偽装懐妊 ─なにがあっても、愛してる─
「持っていてもいいんですか?」
尋ねたが冬哉さんは背を向け、部屋から出ていこうとする。
私は膝を崩してベッドから立ち上がり、彼の背中を追いかけた。
「冬哉さん」
背中に触れようと腕を伸ばしたところで、彼は立ち止まり、振り向いた。私は手首を捕えられ、なにが起こったのかわからないまま唇が重なる。
「んんっ……!?」
短く触れてすぐに離れたが、手首は捕えられたまま、もう一度キスをされる。
いきなりのことで表情はわからないが、やわらかく触れ合うような優しいキスに、私の体はジンと震えた。
キスの理由は想像もつかない。でも、なにかを求められている気がした。
受け身ではいたくなく、背筋を正して繋がった唇できちんと受け止め、目を閉じる。指先を手首へ折り曲げて、掴んでいる彼の手の甲に触れた。