政略結婚のはずが、極上旦那様に溺愛されています

　せっかく私たちの狙い通りに受け取ってくれた葉鳥さんを、秋瀬くんが茶化して笑う。いつまで経っても食えない態度を取る人だ。

「やっぱり、ふたりで揃うといい相乗効果があるよ。だからわざと競わせてたっていうのもあるんだけどな」

「えっ、そうだったんですか」

　まさかの発言に、つい口を挟んでしまう。

「秋瀬は追いかけられると伸びるタイプで、和泉ちゃんは追いかけると伸びるタイプだろ。ちゃんとそういうの、上司として見てるんだよ」

「さすが葉鳥さん」

　感心して出た言葉と、まったく同じものを秋瀬くんが呟く。ふたりで顔を見合わせて、少し笑った。

「じゃあ、こっちで最新版として提出しておくから。ふたりも自分のデータの扱いには気を付けるように」