政略結婚のはずが、極上旦那様に溺愛されています
 私の父は秋瀬くんのしたいようにすればいいというのを前提として、なにかと自分を選んでもらえるようせっせと手を回している。

 今回の出張だってそうだ。いつか会社を継ぐならという話の上で、秋瀬くんのデザイナーとしての勉強も兼ねて提案したと言う。

 尊敬している人に誘われて断る人がいるとは思えない。私だって泰時さんに誘われたら、父をそっちのけで選んでしまう。

 つまりそういうわけで、秋瀬くんは今日から三日間、出張で家を空けるのだった。

 靴を履き終えた秋瀬くんが私を見下ろす。

「いいか。知らない人が来てもドアを開けるなよ」

「子供じゃないんだから」

「サイズは子供だけどな」

< 279 / 342 >

この作品をシェア

pagetop