政略結婚のはずが、極上旦那様に溺愛されています
「真白のいいところをちゃんとわかってくれる男なんだと思ったよ」

 とにこにこしながら言った父の隣で、当の秋瀬くんは「娘さんが俺のよさに気づいてくれるまでは、少し時間がかかりましたけど」と余計なことを呟いていた。

 つまり、父は私ありきで秋瀬くんを気に入ったようなのだ。てっきりセンスがいいからとか、仕事振りを認めて次期社長にしたくなったとか、作るデザインが似ていて共感しているとか、そういう話かと思っていたのに。

 以前、酔っていたとはいえ、この件で秋瀬くんに泣きついた自分が滑稽ではないか。

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