政略結婚のはずが、極上旦那様に溺愛されています

　頑張ろうな、と秋瀬くんが白々しく私の頭を撫でる。いつもなら振り払っているところだけど、今はとてもそれどころではない。

　今回は共闘？　私が秋瀬くんをぎゃふんと言わせる絶好のチャンスだったのに？

「でも意外だなぁ。秋瀬は和泉ちゃんとずっとライバルでいるのかと思ってた」

「一生懸命、俺に追いつこうとするしろちゃんはかわいいですけどね。次は俺の背中じゃなくて、ちゃんと顔を見て仕事してほしいなって。見つめててほしいっていうか」

「なんかお前、片思いしてるみたいだな」

　葉鳥さんの茶化しに、秋瀬くんは笑って返す。

「してますよ、片思い。なのになかなか振り向いてくれない。なんでだろうなー。俺、顔もいいし仕事もできるし、スペック高いと思うんだけど」

「性格は最悪でしょ」