俺様社長はハツコイ妻を溺愛したい
それから、ダンボールから出てくる彼の私物をそれぞれの場所に仕舞い、全てのダンボールが片付いた。
あれだけの数があったのに、最終的に中身は私の荷物より少し多いくらいだった。
それでも、リビングルームは多少なりとも生活感が出てきた。
あとは、おいおい必要なものを買い足すくらいなものだろう。
なんて、本当にお嫁さん気分の自分にびっくりするわ。
「すっきりしたな……俺一人ではここまで出来なかった。 ありがとう、あやめ」
キッチンから部屋全体を眺め、急にそんなことを言う蒼泉に戸惑う。
しかも彼の目はしっかり私を捉えていて、優しげな微笑み付き。
「ど、どういたしまして」
応えながら、照れくさくなった私はふいっと彼から顔を逸らした。
たった二日、一緒にいた時間なんてたかが知れているのに、この時間は決して苦痛には感じない。
蒼泉の人間性が少しずつ見えて、ただ嫌な奴ってわけじゃないのかも、とまで思ってしまう。
「一段落したし、一緒に風呂に入るか」
「は、はぁ!? 入らないわよ! 絶対!」
「言っとくけど、今日こそ抱くからな」
前言撤回。こいつ、やっぱりやな奴だ!
抱かれるなんて、絶対嫌!
「嫌です! そんなにせっ…セックスしたいなら、風俗にでも行ったらどうなの!」
生々しい単語に、自分で言ってて恥ずかしくなる。
「分かってないな。確かに誰とでも寝れる男はいるけど、俺はそうじゃない。 そこらの知らない女と寝るなんて御免だ。 俺は、あやめを抱きたいんだから」
分かってない? 抱きたいんだから?
あったりまえじゃないの!
あんたのことなんか、何も知らないわよ。
「そんなの知らないし!」
「煩い子にはお仕置が必要か?」
私の反論をものともせず、蒼泉は反対側にいる私の下までやってきた。
キッと睨んでみせるも、彼は動じない。
その真っ直ぐな瞳に一瞬、吸い込まれそうになっているとその間に、あっという間に唇を奪われてしまった。
あぁもう、何やってるのよ私!
なんでぼーっとしてたの。
「なんだ、今日は大人しいな」
「う、うるさ――んっ…ぅ」
昨日と同じ、濃厚なキスだ。
一旦唇が離れると、今度はそれが首筋に持っていかれる。
「ひゃっ!? なんで、そんなとこ――やめ……」
全身がゾクッと疼く。
力が入らなくなって、立っているのがやっとだ。
力では到底敵わない。
押しのけることもできないので、蒼泉の肩をパシパシ叩く。
やっと唇が離れた頃には、情けないことにへなへなになっていた。