俺様社長はハツコイ妻を溺愛したい
1.社長は花嫁をご所望




失恋から一週間。
見栄を張って潔く別れを受け入れたものの、ショックはなかなか癒えない。
毎日職場の先輩に話を聞いてもらうのが最早日課になりつつあり、職場近くの喫茶店で今もまさにその最中だ。

「あやめちゃん。この際だから言わせてもらうけど」

そう前置きをして私に向き直る彼女は、柏木一絵(かしわぎ ひとえ)さん。
三つ年上の三十歳で、一児のママである彼女は、仕事でもプライベートでも頼りになるお姉さん的な存在だ。

三十歳とは思えないほど可愛らしく、おっとり癒し系の彼女が笑うと周りの雰囲気もぱっと明るくなる。
そんな一絵さんが大真面目な顔をするので、思わず身構えてしまう。

「あやめちゃんはね、可愛いのよ」

「はぁ…?」

一応、褒められてるってことでいいのかしら?
イマイチ真意をつかみ取れない。

「あやめちゃんをお嫁に欲しいって人は、この世にたくさんいると思う」

「えぇ?なんですか、それ」

真面目顔は崩さずにそんなことを言うので、思わず笑ってしまった。
お嫁に欲しい人がこの世にたくさんいるなんて、お世辞にしてはスケールが大きい。

「私はこの場をもって、お見合いを推奨するわ!」

「えぇ!お見合い!?」

何を言い出すかと思ったら、お見合いって……

「お相手のことなら任せて!こう見えてツテはあるのよ。あやめちゃん、上手くいけば、お医者様との結婚も夢じゃないわ」

一絵さんのご主人はお医者様だから、その知り合いとなれば夢じゃないのは確かだ。
でも、私は別にお医者様の旦那さんが欲しいわけではないし……

いや、ていうかお見合いなんてしないわよ!
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