いつの間にか、君に恋していたんだ。


それに比べて、私は平凡。


私の名前は琴月伊鳥(ことつきいと)


よく名前を読み間違えられるんだ。


いとりって……本当はいとって読むんだよ。


「可愛くないよ」


「何言ってるの!伊鳥が可愛くなかったら、この世界のみんなブスってことになるんだから!」


あはは、大げさだな。


私、全然可愛くないのに……


そう思ってしまうのは、元カレとあの人達の影響。


私の元カレはとても束縛の激しい人で、私が男の子と喋っているだけですごく怒られた。


あげくの果てに、私のことをブスと言っていて。


最初はお世辞で可愛いって言ってくれてたんだけどね……


だったら、付き合わなければ……そう思ってしまったけどね。


そんなわけでブスと言われ慣れてしまった私は自分のことを可愛いなんて思えない。


「伊鳥がこんな風に自分のことを可愛くないって言い始めたのあの元カレとあの人達のせいでしょう。余計なことしてくれたわ」


はぁとため息をつく由香ちゃん。


その時の憂いた顔はとても綺麗。


「でも、ほんとのことだから」


私なんて可愛くない。


それは、自分で分かってるんだ。


「もう、本当に……まぁ、いいや。いずれ自覚してくれれば。じゃあ、伊鳥。また後で」 


「うん、また後でね」


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