看取り愛~あなたの子は大切に育てます~
赤ちゃんも綺麗にしてもらい、安静にしている果歩の元へ日高先生が飛び込んでくる。

「果歩さん、涼太朗の容態が…急いで赤ちゃんを会わせてやってくれ」

「はい」慌てて、抱っこした赤ちゃんを連れて涼太朗の寝室へ向かった。



「涼太朗さん、私達の赤ちゃんが無事生まれました!」

果歩の声にうっすら目を開けた涼太朗。
掠れた声で、
「ありがとう…果歩…朔太朗…愛してる……」

奇しくも、わが子が生まれた日、一目見て息を引き取ったのだった…
愛するわが子の名前を伝えて…

「涼太朗さん~」

「涼ちゃん…」

「涼太朗…5月30日15時20分…」

突然の誕生と突然の別れ。

余命宣告から1年半、涼太朗は幸せそうな顔で旅立った…

人の命は儚い…




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