終わらない夢
翔と私、ふたりで田舎の道を歩いていく。どこまで行っても景色が変わる様子はなく、どこに向かっているのかも怪しく思えてきた。
「ねえ、ひとつ聞いていい?」
「ん?」
「なんでも屋のくせに、話を聞くだけなの?」
「あー…」
黙り込んだ。つまり、そういうことだ。
「…ごめんなさい」
翔が素直に謝ってきた。正直、変なプライドが高い子だと思っていたから、意外だった。だが、ずっと頭を下げられるのもいい気はしない。
「……いやなら、やめても…」
「バカなこと言わないで」
ふつうな暮らしを望んでいるが、変化がない暮らしを望んでいるわけでもない。面白そうなことをやれるなら、やらない理由はない。それに、わざわざ私に頼み込むほどの理由が、翔にもあるのかもしれない。もしあるとしたら、私はそれを無下にすることになる。
「やるって言ったんだし、なんでもやるよ。なんでも屋でしょ」
「…へへっ、そう言ってくれると思ってた」
翔は真っ白な歯を見せて笑った。
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