終わらない夢
「昼のうちに、だれか亡くなったとして…そのときどうにかして行けないのか?」
「わざわざ亡くなるかもしれない人のもとにいって…耐えられる?」
翔は言葉に詰まる。たしかに、なんらかの方法があるとしたら、亡くなる人と共に行くこと。合理的ではあるけど、心を鬼にしなければならない。
「どうにもならないのか…?」
「バカ言わないで、翔。私たちはなんでも屋。なんでもやるの」
「あ、ああ…」
咄嗟に言葉が出てしまった。…なんでだろう。
『あ〜あ、青春ゴッコしちゃってさ。どんな余裕があるわけ?』
「うっ…」
「優奈!?」
『このままじゃ待ちくたびれるし…どうしようかな』
「優奈さん!」
『私がいる場所、知りたいんでしょ?特別に教えてあげる。辿り着けるかなあ?』
「優奈ちゃん、大丈夫!?」
『私たちの、思い出の場所…忘れたとは言わさないよ』
「…旧13番街。私たちの思い出。そこにいるから」
『よくできました。えへへ!』
「あっ…あ……」
『優奈は、私だけのおもちゃ。おもちゃは主人に逆らえない。さあ、言ってみて。忠誠のことば』
「い…や…」
『逆らうの?優奈はいつから、自我を持ったの?』
「わたしは……」
『あなたはとっくに——』
「い、やぁぁぁっ!!」
< 37 / 60 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop