誰よりも近くで笑顔が見たい
「さっきまで蓮も一緒にいて……」


その言葉で全部わかった。


「わかってる。蘭ちゃんが蓮一筋なのは」


嫌に、決まってるよね。


もしも、上原くんが女の子と2人きりで笑ってて、耳元で名前呼ばれて顔を赤くしたりして。


私、最低だよ……。


「上原くん、どこに行ったか、わかる?」


「たぶん、屋上」


行こうと、思った。


その手を杉本くんが掴む。


「蘭ちゃん、今は行かない方がいい。たぶん、ケンカになるだけ」


そう言われて、どうしたらいいかわからなくなる。


「大丈夫。蓮は、蘭ちゃんが思ってるよりも、自分が思ってるよりも、蘭ちゃんが好きだよ。だから、安心して?」


そんなこと言われたら、頷くしかなかった。


でも、事態は思いのほか早く動いた。


『放課後、屋上に来て』


お昼休みが終わったあたりで届いたLINEがいつも通りなのに安心する。


でも、こんなに急ぐなんて上原くんらしくない。


そんなことを思いながら、屋上のドアを開けた。
< 131 / 170 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop