誰よりも近くで笑顔が見たい

数年後

「蘭、準備できた?」


鏡の前でヘアアレンジをしてる私に蓮くんが聞いた。


「ちょっと待って。うまくつけられなくて……」


「貸して」


渡した髪飾りを見て、蓮くんの表情が驚きに変わる。


「まだ、持ってたんだ」


「うん」


10年前の夏祭りにもらった髪飾りは、今でも私のお気に入り。


私たち、付き合って10年になるんだな……。


頭を軽く押さえられて、髪飾りをつけてもらう。


顔が、近い……。


「できた」


「ありがとう」


そう言って、ちらっと見た私の顔は赤い。


そんな私に少し笑ってリビングへ行く蓮くんを追いかける。


同棲を始めて、数年経つこのマンションの一室。


私たちが社会人になってから、1年後に始めた。


波長が合うのか、生活のペースを乱すことなく過ごせてる。
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