誰よりも近くで笑顔が見たい
「っ!」


全身に痛みが響く感じ。


動く気にもなれなくて、そのままぼんやりと意識を手放した。


でも、すぐに身体中が冷たくなる感じがして意識が戻ってきた。


打ち付けられているのは、雨。


山は、天気が変わりやすい。


確か、傘をリュックに入れてたはず……。


そう思い、近くを見渡すけどリュックなんてどこにもなかった。


落ちる途中で肩から外れちゃったんだと思う。


困ったなあ。


少し痛みも引いてきたから立ち上がろうと地面に手をつく。


思い切り力を入れて立ち上がると、足首に鋭い痛みが走った。


「あ……」


足首を見てみれば、赤くなってる。


捻挫、かな?


歩けそうにもなく、その場でうずくまった。


どうしよう、どうなっちゃうの。


そんな不安ばかりが頭の中をぐるぐるとする。
< 30 / 170 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop