優しい『君』とおちていく

次の日、いつも七瀬が起こしてくれるから起きれたけど、七瀬がいなかったから寝坊した。

今は1時間目の途中。

あーあ。

竹くんに行くって言ったのにな。

……でも七瀬の過去を知っちゃって、普通に竹くんに会うの無理だったと思う。

寝坊して良かった……かもしれない。

途中から行く方が目立つ気がする。


『ごめん!寝坊して行けなくなった!』


と竹くんに送った。

……さて、何しよう?

学校には行けないし……病院行く?

七瀬に会いたいし。

病院に行こうと思ったらすぐ準備が終わった。


「おはよう、七瀬。」


病室に入ってから七瀬に言った。


「あっ、唯愛。学校は?」


「寝坊しちゃって……あと竹くんのファンもいるし。」


嫌がらせはいつまで続くのやら。


「寝坊したの?」


「うん。いつも七瀬が起こしてくれるのに、いなかったから。」


「目覚ましは?」


あっ、その手があったか。


「……つけてない。」


「だよね。」


『だよね』って酷い!

私がつけてなかったのは忘れてたからだもん。


「何で来た?」


「会……」


何で『会いたかったから』って言えないの?!


「……暇だったから。」


結局、これしか理由が思いつかなかった。


「暇って……まあ俺も暇だけど。ってかここに来ても暇だよ?」


「七瀬がいればいいもん。」


そう本音を言ったつもりなのに


「……」


七瀬、無反応。

でも結局、私は誰の苦労も知らなかった―――
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