優しい『君』とおちていく

「もうすぐ学校、夏休みじゃない?」


確かに。


「海行きたい。」


夏といえばみたいな。


「いいよ~。ってかそれより、唯愛の『好き』って言葉が聞きたいんだけど。」


そういえば言ってなかった。


「……好き、だよ。」


「っ……」





「七瀬?」


急に固まって、どうしたんだろう?

そしたらぎゅっ……、と抱きついてきた。


「えっ、ちょっ、七瀬……?」


「キスしていい?」


「ちょっ、ちょっと、待って!私、七瀬から『好き』って言われてない!」


キス……とか心の準備がいるし。


「言ったらキスしていい?」


って言うから絶対確信犯。

仕方なく……といった感じに首を縦に振る。


「唯愛……、好き。」


そんな切なそうに言われたら。

胸がぎゅっ……、って感じになる。

ふっ、と暗くなって、私の唇と七瀬の唇が触れた。

触れたのは一瞬。

でも七瀬の体温が伝染していって……

どんどん私の体を支配した。
< 33 / 46 >

この作品をシェア

pagetop