赤い瞳に今日も溺れる―飢えた漆黒の吸血鬼―
1週間経つけど、特に進展はなし。
変わったことなら、休日はお互いに時間に余裕がある時だけ吸血をすると決まったことくらい。
「でも、何を選んだらいいかわからないよ」
卵焼きをのどに流し、本音をこぼす。
一緒に遊んでいた頃はまだ物心がつく前。
当然、服は親が買ってきた物を着ていて、男子ウケなんてまず頭になかった。
そもそも、潤くんとは丸10年会ってなかったから、どんな服が好みなのか、わかるわけがない。
「男の子ってどんな服が好きなのかな?」
「ええっ? 鳥越くんと遊ぶ時は何着てるの?」
「うーん……パーカーとかデニムとか……あとは制服? あんまり服装気にしたことないかも」
千冬達と遊んでいた時は、動きやすい服ばっかり着ていた記憶がある。
昔からの付き合いだから、気を張る必要がないんだよね。
「あと、『風花はおっちょこちょいだから、可愛い服よりも肌を守る服のほうがいいかもね』って言われたのもあるかな」
「あー……なるほどね」