赤い瞳に今日も溺れる―飢えた漆黒の吸血鬼―

先生にバッグを預けて階段を駆け上がる。


2階も1階も同じくらい広いから早く見つけないと……! すごく苦しそうだったし……!


首をキョロキョロさせ、目を凝らしながら人影を探していると……。



「っ……誰か、いるの……?」



再び声が聞こえて足を止める。


今の……奥から聞こえてきたよね。

声のトーンからすると……男の子?


ゆっくりと進み、恐る恐る本棚の裏側を覗く。

すると──数冊の本が落ちている近くに、黒髪の男の子が壁を背にうなだれるように座っていた。



「っだ、大丈夫ですか⁉」

「…………が……しい……」

「ええっ⁉ 何⁉」



急いで駆け寄るも、呼吸が荒く、途切れ途切れに話していて聞き取れない。


とりあえず先生を呼びに……いや、叫んで知らせようか。

でも、叫んだところでこの場所がわかるかどうか……。

広いし奥だし、見つけるのに時間かかりそうだよね……。



「…………が……欲しい」
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