星空とミルクティー
「いらっしゃい」
あたしの顔を認めて、父親が微笑んだ。
「2人」
「奥、空いてるよ」
促されるまま、空いたボックス席を探す。
昼食にしては遅い時間を選んだつもりでも、ほとんどの席が埋まっていた。
やっぱりみんな、自分の家のようにくつろいで、本を読んだりノートを広げて何か書いたり、友人同士、小さな声で喋っている。
その間をすり抜けて一番奥のソファ席に腰を下ろした。
久しぶりにここに座る。いつもカウンターだったから。
向かいに座った真雪にメニューを手渡してやる。
店に入った瞬間、借りてきた猫みたいに急に大人しくなって何も話さない。
「大丈夫か?」
「……うん。あの人が汐のお父さんだよね」
「そう」
メニューを見ている真雪を見ていたら、お冷の入ったグラスを持って父がやってきた。
「ご注文はお決まりでしょうか」
周りにも客がいるだけじゃなく、真雪も一緒にいることで他人行儀に振る舞う父。
その姿を見るのも久しぶりで、笑いがこみあげてくる。
いつものように煮込みハンバーグを注文すると、真雪もそれに倣った。