契約夫婦のはずが、極上の新婚初夜を教えられました
 でも今はそんなことよりも、大吾さんが帰ってきたことに安堵する。田町さんがあんなことを言うから心配だったけれど、どうやらそれは私の取り越し苦労だったみたいだ。

「大吾さん、お帰りなさい。昨晩はちゃんと寝られましたか?」
「ああ、八重を抱いて、ゆっくり寝かせてもらった。昨晩は待たせて悪かったな。もう少し早く帰るつもりだったんだが、思ったより打ち合わせに時間が掛かってしまった」
 
 大吾さんは私の背中に腕を回し入れ、身体をそっと抱き寄せる。ふわりと前髪を掻き分けると、露になった額に唇を当てた。

「お仕事ですから仕方ありませんよ。それより、帰ってきてくれて嬉しい……」
 
 そこまで言いかけて、ハッと口をつぐむ。こんなこと言うつもりじゃなかったのに、気持ちが先走ってしまった。

「帰ってきてって、なに当たり前のことを言っているんだ。俺が帰るのは、八重のいるここだけだ」
 
 大吾さんは私の身体を強く抱きしめ、はあ~と大きく息を漏らす。



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