最終列車が出るまで


 久しぶりに会ったみんなに、ひたすら頭を下げて、十分遅れで飲み会が始まった。

 今日の参加者は、私も含めて五人。家族が体調を崩したとかで、いつものメンバーから一人が欠席だった。

 飲み放題メニューから、それぞれ好きな飲み物を注文する。

 私はやっぱり「とりあえず生!」。

 乾杯をした後、まず近況報告から始まった。一年以上会っていなかったから、それなりの変化があった。

 仕事を変えた人、子どもの卒業・入学・就職、家族を亡くした人。

 大きな変化のなかった私は、聞き役中心だ。大きな変化がなかった事は、よかったのか悪かったのか……

 運ばれてくるお料理とお酒に、みんなの口がどんどん滑らかになっていく。

 お造り、ピザ、アヒージョ等々。多国籍な料理は盛り付けもおしゃれで、どれもおいしい。

 何がきっかけだったのか、途中から『ダンナはめんどくさい』という話がテーマになった。

 家の事をしない(できない)、こちらの言っている事が全然通じない、一人になりたい時に限って近寄ってくる等々。

 時に笑いながら、時に呆れながら話を聞いた。

 アラフォーグループのみんなは、話上手だ。かなりの辛口コメントも、どこか笑えてきてしまう。根底に、愛があるからだろう。うん、たぶん。

 みんなの話を聞いてみても、うちのダンナはよくできたダンナ様だ(思わず“様”を付けてしまった)。

 家事・育児はバッチリだ。まあ、私の話を聞いていないのは、もうあきらめている。

 付き合いは長いので、ベタベタする事もないが、冷たい訳でもない。基本的に優しい人だし。

 どんなに忙しくても、仕事の愚痴を溢す事はほとんどない。



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