センチメンタルナイト【完】
高校を卒業してからというもの、少しずつ顔を合わせる機会が減って、私と一星は必然的に会話をする頻度も少なくなっていた。
それでもたまにみんなで集まって各々の近況報告をしたり他愛もないこと話したりはしていたのだが、一星は元々自分の恋愛について語ることを避けていた感があった。
周りが比較的オープンな連中ばかりなせいか、恋愛の話になると上手く聞き手に回っていた印象が強い。
それは自分にも該当することかもしれないが。

だから一星のことを好きでいながら積極的にロクなアタックもできなかった私は、まさか一星に彼女がいて、あろうことか結婚まで話が進んていたなんて露知らずの立場だったのだ。
良く考えてみれば整った顔立ちでしっかり者で責任感も強くて頭も良くて、完璧って言葉が似合うようなこんなに魅力的な人を他の女が放っておくわけがない。
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